メロンパンにさようなら

「お前、そんなんじゃ絶対監督にはなれねぇな」

「いや、なるつもりはないですし」

「でも、なんか、メロンらしいな」

「えっ?」

私、らしい?


「そういう考え、嫌いじゃねぇよ」

「……それは、どうも」

なんか、そんなふうに言われたら調子が狂う。


可愛く“ありがとう”って言えない自分に腹が立つ。


「むしろ、好きかも」

「……」

“好き”って単語に反応して、思わず心臓が大きく飛び跳ねた。


そして、そんな反応をしてしまった自分がすごく恥ずかしくて、顔が赤くなるのが分かる。

こんな顔、見られたくないから思わず俯いているのに、


「あれ〜?何、反応してんの?」


いたずらっ子のように、意地悪い言葉をくれる。

「してませんし!」

なんて反撃したところで、顔が赤いのは変わらなくて、逆に、こうやってムキになっている自分が恥ずかしい。


「純情〜」

「もう!からかわないでください!ほら、もう、練習に戻ってくださいよ」


これ以上一緒にいたってからかわれるだけだ。

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