メロンパンにさようなら
「今日は何するんだろうね」
なんて、愛と一緒に天文部の部室である地学室へ移動している途中、ジャージ姿で、今から部活に行くであろう姿の、高見翔にばったり出会った。
「メロンじゃん」
「高見……翔」
“メロン”って呼ばれたことに突っ込まなくなっている自分が少し情けないけれど、それほどまでに、この人に、メロンって呼ばれることが自然で、自分の中で抵抗がないことに驚きでもあった。
「なんで、フルネーム?」
私の言葉に、さも可笑しいと言わんばかりに、少し口角を上げて、にやりと笑う彼を無視して先を急いだ。
なんで無視をしているのか自分でも分からない。
この二週間、会うこともなくて、少し気にしてたと言えば、気にしてた。
ううん、
少しじゃないかな。
気付いたら、どうしてるんだろうって思ってる自分がいた。
今、ここで出会って、動揺しているっていうか、何を話していいか分からなくて。
だから、1人、無視して歩いているのかもしれない。