メロンパンにさようなら
「はぁ」
賑やかな部室は慣れていない。
こんなにキャーキャー騒がなくてもいいのに。
「気になる?」
隣に座っている愛が、突然聞いてきた。
「何が?」
「高見先輩」
「なんでっ!」
思わず大きな声を出してしまったけれど、周りは、それ以上に煩かったみたいで注目を浴びることは、なかった。
なんで、あいつのことなんて気にしなくちゃいけないのよ。
「気になるわけないし」
「ふぅ〜ん」
意味あり気な言い方の愛のこの言葉に、“本当に気になんてなってないし”と言ったところで、逆に、すごく気にしてるように思われそうなので、何も言わずに、配られていたプリントを見ていた。
気になるわけ、ないじゃない。
なんて思っているはずなのに、
“高見くん”
という声を聞くだけで、耳が敏感に反応するんだ。
結局、時間内に決まることはなく、部長が当日に決めてくることになって、解散となった。