メロンパンにさようなら

「今日、お前の相手してやらなかったからな」

悪かったな、なんていつものように笑って言うから、


「していただかなくて結構ですし」

笑って答えている自分がいる。


いつもの言い合いなのに、嬉しいと感じているのは、なんでだろう。


理由は、分かってる。
理由は、余りにもシンプルで、だからこそ、隠したくなった。



「寂しかった?」

「別に」


本当は、寂しかったのかもしれない。
ううん、寂しかったんだと思う。

彼が言うように寂しくて、こうやって、言い合いたかったんだ。


ねぇ?
素直に『寂しかった』って言ったらどうするの?


寂しく感じるその理由を、たったの二文字“好き”だと、そう言えば、どんな反応をするの?

< 67 / 217 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop