メロンパンにさようなら
「高見は、今日は来ない」
部長がそう言うと、
『え〜っ!』
『何、それ〜』
『帰ろ、帰ろ』
明らかに、彼目当てで来たであろう女子生徒のそんな声が聞こえてきて、先ほどまで騒いでいた女子達が、ぞろぞろと教室を出て行った。
彼女たちが言うように、がっかりしているのは、私も同じ。
会い辛いって思っていて、それでも会えるってソワソワしていた私が、部長の言葉にがっかりしたのは事実だった。
結局、部室に残った生徒数は、たったの10人程。
いつも真面目に部活に顔を出す、お馴染みのメンバーだけ。
女子は、私と愛と2年の先輩のたった3人。
「さて、上に行くか」
部長の声で屋上に向かう。
「残念だったね」
屋上に向かいながら、意味深に笑いながら愛が言うから、
「何が」
なんてとぼけてみるけれど、はいはいって肩を叩かれてしまい、相手にされなかった。
「ちょっと、愛、違うんだからね」
なんて、何が違うのか、何を言いたいのかわけ分かんなくなって、訂正すればするほど、彼のことを気にしてるって言ってるようなもんだ。
ふぅと、息を吐き、屋上へと進んだ。