メロンパンにさようなら


「そこ。いちゃつき禁止」


すぐ傍で部長の声がして、ここが屋上で、暗くて見えにくいとはいえ、周りに天文部のみんなが居ることに気付いて、恥ずかしくなり、彼の胸から離れようとしているのに、ぎゅっと抱き締められた腕は、緩むこともなくて、



「んだよ、別にいいだろ」


なんて言う、高見翔に、思わず笑えた。

ほんと、この人は、いつだって、どこでだって、我が儘俺様なんだ。



「いいわけねぇだろ。ほら、植草だってもがいているんだし」


呆れたように言う部長の言葉に、“チッ”と舌打ちをしながら、背中に回っていた腕が解かれた。


感じていた腕の温かさがなくなり、寂しいって思ってしまう私は、やっぱりどうかしてる。


もう少しだけ、あなたの温もりに抱き締められていたかったと思う私は、あなたに恋をしている証拠なのかもしれないね。


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