メロンパンにさようなら
「送ってく」
「え?」
突然のことに頭がついていかない。
「女の子の一人歩きは危険だし」
「あ〜、迎え来てるから、大丈夫ですよ」
女の子扱いをしてくれたことに少しだけ嬉しくなり、先ほど感じていた寂しい気持ちが和らいだ。
「下までだよ」
「え?」
「校門まで送ってく」
校門までって…
校舎の中なんて、危険な場所なんてないのに。
「大丈夫です」
「化けもん出たら、泣くだろ」
「泣きませんし」
お化けなんて出るわけないのに。
「ふぅ〜ん」
ニヤリと不敵に笑った高見翔に、なんだか嫌な予感がするんですけど。
「なっ、なんですか」
「学校の七不思議って知ってる?」
「え?」
「深夜の音楽室で、」
「ギャー!もう、やめてくださいよ!」
怪談を始めるなんて反則だし。怖い話、苦手なんだから。
「ビビり」
「悪かったですね」
「ほら、行くぞ」
「あっ、待ってくださいよ」