メロンパンにさようなら
女子高生の間では、一度はやってみたいと憧れる【放課後デート】
好きな男の子と、放課後一緒に帰りながら、制服でデートすること。
それを、私は、初めてすることになった。
その相手が高見翔。
だけど、実際は、憧れるような甘さなんて微塵もなく、いつもの言い合いばかりで、疲れただけだったけれど。
それでも、一緒にすごしているこの時間を、一分一秒を、いつも感じているよりも、貴重で、キラキラ輝いているように感じるのは、二人でこうやって過ごす時間を大切にしたいと思っているから。
もうすぐ、高見翔は、離れていく人だから。
あと少しすれば、彼は、陸上部に戻るから。
手の届かない人になってしまうから。
近づくことさえ容易に出来ない、そんな遠い人になるから。