メロンパンにさようなら
「植草さんっ!」
クラスの女の子たちが、朝、机に突っ伏していた私の元にバタバタと駆け寄ってきた。
な、何?
「お、はよ」
周りを囲まれるようにやってきた女の子たちに圧倒されて、椅子を引き、距離を作った。
「ねぇ、ねぇ。高見先輩と付き合ってるの?」
身を乗り出して聞いてきた女の子に、また一歩、椅子を後ろに引いた。
「は?……何?」
何なの?
なんで、付き合ってるなんて言葉が出てくるの?
こっちが聞きたいよ。
「……あの、」
話そうとしたら、周りのみんなが話し始める。
「したんでしょ、放課後デート!」
「ねぇ、どんなだったの?」
「やっぱり、それって、付き合ってんだよね」
口々に周りの子たちが話すから、付き合ってないと言うタイミングを失ってしまい、取り敢えず、この子たちの会話が一段落するまで待とうと思い、黙っていたら、彼女たちの会話は、私を置いて、盛り上がってしまった。