メロンパンにさようなら
“ガサガサッ”
と、背後で物音がして、振り返ると、
「パンツ、見えてるぞ」
そう言って、売店の影から姿を現したのは、高見翔だった。
「なっ……!」
なんで、ここにいるのかってことよりも、さっきの風でスカートが捲れ上がったのかと思う恥ずかしさの方が大きくて、声が出ない。
思わず、手を後ろにしてスカートを押さえた。
「冗談だよ」
ふっと笑った、その余裕の顔、すごく悔しいんですけど!
そもそも、スパッツを履いているんだから、パンツなんて見えるはずなんてないのに、おもいっきり焦っていた自分が恥ずかしくて、悔しい。
「い、いつから居たんですか」
スカートを押さえていた手を出来るだけ自然に外して聞いてみた。
もしかして、さっきの会話、聞かれていた?
「さぁな」
そう言うと、高見翔は、近くのジュースの自販機に小銭を入れてボタンを押した。
「お前も、何か飲む?」
そう言われ、
「じゃあ、ミルクティ」
そう答えると、ふっと笑って
「俺の時は、いらないって言わねぇんだな」
って言ったんだ。