異世界転入生
「わぁ!スゴイ!」
「スゴイって…驚いてる場合じゃないぞ
学校内を移動するなら、これくらいの魔法は使えないと困ることになるぞ」
「えぇ!!?僕が魔法使うの!!?てか、使えるの!?!」
「(…何をするつもりで来たんだ?この子は…)魔法が使えないなら、初めから入口の扉に阻まれている」
「…え?どういうこと?」
「あの扉は、魔力の無い者は通さないという魔法がかかっている」
「へぇ…でも、魔法使うのが当然のこの世界で、魔力の無い人なんているの?」
「いや、いないよ
まぁ、軽いテストみたいなものだと思ってくれたら良い」
「入試テスト…みたいなものか…」

ユウは自分の理解しやすいように置き換え、納得した
話をしながら曲がってすぐにあった階段をのぼり、そして長い廊下を歩く
今歩いている廊下は、左右に大きな窓があり、とても明るい
先ほどまでの薄暗い廊下が嘘のようだ…
渡り廊下のような窓以外何も無い廊下の突き当たりは、曲がり角になっている

そこを曲がると、校舎らしく『1-A』や『1-B』というクラスの表示が柱に釣り下がっている

「1-Aは成績優秀者を集めたクラス
君の場合は転入したてで力量が分からないからDから始めてもらう
まぁ、先ほど見た限りでは知識は皆無のようだから、Dから始めるしかないが…
クラスに定員は無く、力量がライン引きだ
それぞれのレベルに合った学習が出来るようになっている」
「へぇ~」

ユウは珍しそうにキョロキョロと見回しながら、ルーフェルの話を聞き流す
校舎の見た目は古そうな洋館風だが、中はとても綺麗だった
壁はレンガで、床は木が使われている
そんなユウを横目で確認して、苦笑いしてルーフェルは目的のDクラスへ

「ココがDクラスだ」

いつの間にか、Dと書かれた木造のドアの前に立っていた

「ルーフェルだ、転入生を連れてきた」

ルーフェルがそう言うと、ドアが開き長い金髪の女性が出てきた
女性はユウを一目見て、何か引っかかるものを感じたのか、ズイッと顔を近づけユウをよく見る
一方、ユウは顔を近づけられ、2・3歩後ろに後ずさる
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