異世界転入生
「センセー、ライナがユウを砲撃してまーす」

前に座っている少年が手を上げ、リーナを呼ぶ
呼ばずとも、今の騒がしさなら気付いていただろうが…

「ラーイーナー」
「ヤバッ…ちょっとリュウ!!」

ライナは慌てて起き上がりユウの上から退く
そして、リュウを睨むがリュウは知らん顔
そんな事をしている間に、リーナはライナの目の前に浮いている
慌てて弁解しようとするが、そんな暇も無くリーナの鉄拳を食らい、撃沈した
ユウはゆっくり起き上がり、机を支えに椅子に座る

(うん…痛いけど、クラスは面白いね)

ユウは少し苦笑いを浮かべて、リーナに怒られているライナを見た

「さて!転入生が来たことだし、今日は登下校に必要なホウキの授業をやるよ!
皆、外に移動して」

リーナの号令で、ゾロゾロと移動を始める
オロオロしているユウは、ライナに連れられ移動する

「ライナちゃん、ホウキって?」
「ライナで良いよ!ホウキの授業はね~、ホウキに乗って空を飛ぶ授業だよ!」
「…え?そのまんま…」
「うん、そのまんまだよ~」

会話をしていると、外のグランドに着いた
リーナがフワフワ浮かび、全員そろっているか数えている

(…普通に人が飛ぶっていうのがね…)

見慣れない光景ばかりで感覚がマヒしている中でも、人が空を飛ぶのは大きな違和感だった
数え終わったのか、リーナは地に着地する

「さぁ、ホウキを出して!」

皆はスッと手を前に出す
前には何も無く、しいて言えば空気がある
しかし、そこにパッとホウキが現れる

「あ、そうそう、ライナとリュウはホウキじゃなくてコレね」

2人に渡されたのは、スノーボードのような板
2人は、今出したホウキに手をかざし、パッと消してしまう
そして、スノーボードを受け取る

「リートは、減速を中心に練習しなさい
ララは障害物を上手く避けられるように練習…それから…」

一人一人にアドバイスをしているリーナを見ながら、ユウは一人どうすべきか悩んでいた

(まず、ホウキが無いんだけど…)

そう、根本的な問題で悩んでいた
どう頑張っても、自分で解決できる問題ではない
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