異世界転入生
「まぁ、すぐに信じられないのも無理はないさ」
「そうね~、ま…そのうち認めるしかなくなるけどね~」
「…それよりさ…引っ越したんでしょ…何処に引っ越したの?」

異世界の人間だった…と言われて、すぐに信じることは出来ないがこの際その話は置いておこう
今重要なのは、ユウが今いる場所
自分の今いる場所くらい、ちゃんと把握しておきたい
ユウの尋ねる何処…とは「日本の何処」という意味で、「何県」という回答が帰ってくるのを想定している

「ココは異世界よ~
まぁ、私達からすると向こうが異世界なんだけどね~」
「…」

ユウは母親の回答に、何も言えなくなった
引っ越しは引っ越しでも、世界をも越えた引っ越しだったらしい

「…マジで…?」

やっと出た言葉は、ただの3文字だった
ユウの言葉に2人はニコニコ笑顔で頷く
ユウは茫然と立ち尽くすしかなかった

「さ、早くご飯食べちゃって~
今日は送って行ってあげるから」
「あ…うん…」

全然異世界だとは思えないし、頭の整理だってまだ全然出来ていないけど
お腹はすいているので、とりあえず朝食を食べることにした
朝食は、いつも通りトーストにハムエッグ…
そのいつも通りの朝食に、ユウは少し安心感を感じた
制服は無いらしいので、ユウは普段着に着替える
動きやすいようにズボンを選んでおく

「空が青紫だ…」

外に出たユウの第一声がコレだ
しかし、それも仕方のないことだ
元いた世界は空と言えば青色だ
天気や時間によって多少の変化はあるが、これほど紫が強い事は無いだろう
何処でも空は同じ色だと思っていたが、違うらしい

(まぁ…異世界らしいから、しょーがないよね…)

玄関のドアを開けた瞬間、飛び込んできた景色に、ココは異世界と認識せざる終えなくなった
どんな田舎に行っても、木と一体化した家はそう滅多にお目にかかれないだろう
だが、ココは木と一体化しているのが当たり前とでも言うように、周りの家すべてが木と一体化している
それに加え、空気中をシャボン玉がフラフラ浮かんでいる
触っても割れず消える気配も無く、ただ空へと昇って行く
そして、そのシャボン玉は何処から出てくるかと思えば、地面から出てきている
などなど、ファンタジーなところを見てしまったのだ…異世界と認めるしかない
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