異世界転入生
(ドア大きすぎなんじゃ…)

ホウキから降りたユウの目は、扉に釘づけになった
普通にやっても開きそうではないが…試しに開けようと引っ張ってみる…が開かない
押してみる…が開かない…なので、横に引いてみる…それでも開かず…

「…母さん…コレどうやって開けるの?」

一通り試し、人の力では開かないことを確認したユウが母親に尋ねる
ユウの行動を見ていた母親はクスクス笑いながら人差し指を出す

「開いてちょうだい」

すると指先が光、その光が扉に向かって飛んでいく
扉に光が当たると、ギギギギと重そうな音をたてながら、扉が開く

「……」

ユウはただポカンとそれを見ていた
今日は自分の知らない事が起こりすぎである…脳内処理が追いついてきてくれない
ひとまず、母親が魔法を使った決定的瞬間を見た事は分かった

「さ、行くわよ」

ポカンとしているユウを気にもとめず、母親はホウキに手をかざす
すると、ホウキは消えてしまった

「!?!」

ユウが驚いているのも構わず、母親は先を行く

「あ、待って!」

ココに置いて行かれたらたまったものではない
右も左も…果ては上も下も分からないこの状態
置いて行かれたら終わりだ…そんな思いを胸にユウは母親について行く

バタン

2人が入ると、大きな音を立てて扉が閉まる
その音に、ユウは少しビクッとなる

コツコツコツ
トコトコトコ

廊下は薄暗く、ロウソクの明かりだけが頼りだ

「母さん…何処に向かってるの?」
「学長室よ~
そうね~、向こうの世界で言う校長室ね~」
「そ、そうなんだ…」

ココに来るまで色々あり、混乱したままココまで来たユウ
まぁ、今も現在進行形で混乱中だが…少し落ち着いてきた
しかし、落ち着いてきたがために、今更緊張し始めた

(どうしよう…大丈夫かなぁ…)

ユウは落ち着かない様子で辺りをキョロキョロ見る

「着いたわよ~」
「へ?」

2人の目に前には1つのドアがあった

(あれ?ココに来るまで、曲がり角無かったんだけど…?
あのデッカイ扉…この部屋にしかつながって無いの?)

ユウが不思議に首を傾げている様子を見て、母親はニッコリ笑いドアに手をかける
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