ブロってますか?
「おはよう。」


照れくさそうに健一が返す。


「健ちゃん、やっぱり健ちゃんだった。何か変な言い方。」

言ってくすっと理恵が笑う。


「ごめん、隠すつもりは無かったけど…本当は面接の時から分かってたんだよ。ただ理恵ちゃんを好きになっていく自分が怖くて…」


「いいの、私もこんな気持ちになるなんて…、職場では内緒ね。でも健ちゃんと暮らしたいな。しかし、健ちゃんは奥様の物でした。…」


寂しそうな理恵を思わず抱きしめ、


「妻とは…同居人みたいな感じなんだ。離婚時かも知れない。そうなれば理恵ちゃんと暮らしたいな。」


「ほんと!そうなれば嬉しい。」


「あっ、やばい!ホテルチェックアウトしないと。そろそろ出るよ。」


慌てて起き出す健一の胸に唇を押し付ける理恵。


「健ちゃんが忘れないようにキスマーク付けちゃえ!」


「ははっ、忘れないよ。忘れるもんか。また、連絡入れるからね。」


「はい。行ってらっしゃーい。あ な た」


嬉しそうな理恵。
玄関でキスをし、チェックアウトの為にホテルへと向かう健一。
その足取りは軽かった。


馴染みのフロントマンに朝帰りをからかわれながら、支度する。
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