ブロってますか?
ホテルをチェックアウトし、直接次の営業所に向かう健一。足取りは軽かった。

ぱぁーっと、いきなり視界が広がった様な、わくわくするような、明るい明日が来る様なそんな気分である。


『第2の人生かぁ~それも悪くないな。理恵ともし一緒になれたら、今度は家庭重視でいきたいな。勿論子供も作って、休みの日は家族で出掛けるんだ。楽しいだろうなぁ。』


思いは、理恵との生活に飛んでいる。しかし、それを実現させるには…そう、それを考えると先程の明るく楽しい未来設計にも影がさすのであった。


営業所で書類を受け取り、本社へ帰る健一。部長に書類を渡し簡単に報告すると今日は帰って良いとの事。出張の疲れもありその言葉に甘える事にした。


いざ帰宅となると、途端に足が重くなる。しかし、はっきり美沙子に言わねば。帰宅途中の繁華街を歩いていると、どうやら自分を呼ぶ声がする。振り向く健一。


「健一さ~ん。」


息を切らしながら、走って来るのは…


「あっ、恵美ちゃんどうしたの?」


そう、美沙子の親友だった恵美である。健一とも何回か面識があり、お互い名前で呼び合う。


「その荷物なら、出張帰りね。大変かもよ。あのね…
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