ブロってますか?
冷蔵庫から氷を取り出し、グラスに入れる。キャビネットからウイスキーのボトルを取り出し注ぐ。散乱した室内の物をとりあえず隅に押し込み、リビングのソファーに腰を降ろす。
コンポのスイッチを押す。
美沙子が好きな、浜崎あゆみのバラードが流れる。
ロックを渇いた喉に流し込みながら目を閉じる健一。


その時携帯にメールの着信が…理恵である。そこには健一に対する思いが溢れた文章が綴られている。メールを見ても返信する気になれない健一。


『俺はいったい何してんだろう。何がしたいんだろう?今の状態で美沙子を見捨てるのか?美沙子は両親、兄弟いないんだぞ。それでも見捨てる気か?一緒になる時は幸せにすると言ったのは嘘か?いや、人間一緒に暮らさねば本質は見えない物だから…でも、1人の男としてどうなんだ?』


己の心の中で葛藤する健一。自然と涙が溢れる。いくら飲んでもますます意識は研ぎすまされて行く。そのまま時間だけが流れていく。明け方、漸く自身の中で1つの決断をする健一。
熱いシャワーを浴び、そして水に切り替え全身の意識を高める。今日、明日は週末の為休みである。

部屋の片付けを始める。ある程度片付け終わると病院に向かう健一。
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