ブロってますか?
内心、村下の言葉にへきへきしながらも
「では、所長また来ますから、失礼します。」

営業所を出る時に、これから営業に出ようとする近藤にあう。

「先輩、昨日はご馳走様でした。今から本社ですか?駅まで送りますよ。」

「悪いな。じゃ頼むよ。」

営業車に乗り込む健一。
駅までは10分である。

「近藤、昨日の話しだけど頼むぞ。」

「アイアイサー。」
おどけて、敬礼する近藤。

「それとな、月曜から事務の子が2人入る予定だけど、佐藤って子に注意しておいてくれるか?」

「佐藤ですね?可愛いんですか?先輩の好みとか?」

「ば~か!どうも所長のこれみたいだ。」

小指を立てる健一。
「ま、まじっすか!公私混同も甚だしい!面接したの先輩でしょ?何で採用したんです?」

「まぁ、いろいろ事情があってな、きちんと仕事してくれるなら問題ないけど、会社に害があるようなら…」

近藤に言いながら、心の中では、

『抑止力だよ。ある人を守る為に必要なんだよ。』

と、西川の顔を思い浮かべる健一。

駅に着き、近藤にくれぐれも頼むぞと声を掛け、新幹線口に向かう健一。
心の中では、昨夜の電話の会話がリフレインしているのだった。
< 46 / 141 >

この作品をシェア

pagetop