ブロってますか?
健一と理恵の顔が、一番近付く瞬間。


『いい匂いがする…』


健一は香水が苦手である。理恵から漂うほのかな香りは、お風呂上がりのような匂いがした。
暫く、ボーッとする健一。


「あ、あのう資料此処でいいですか?」

おずおずと声掛ける理恵に、我に返り慌てて、


「あ、ありがとう。」


それだけ言うと、パソコンの画面に向かう健一。耳が熱い。

『耳たぶまで、赤くなってるの気付かれたかな?しっかりしろ自分!仕事に一週間来てるんだぞ!』

雑念を振り払うが如く、大きく首を振る健一。


暫くして、田中が健一の席に来る。


「岡村さん、お昼はどうするの?」


「確か、近くに定食屋あったよね。」


「あっ、一膳屋ね。一緒に行っていい?話しあるし。」


「いいですよ。」


「じゃ、私昼は1時から休憩だから付き合ってね。」


営業所では、何時得意先から電話があるかわからないから、事務員は交代で昼休憩を取る。


「了解!じゃ1時まで張り切って仕事しますか!」


健一も出張先では、ある程度フリーで動ける権限を与えられている。


そして1時になり、田中と共に定食屋に行く健一。


そこで…
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