ブロってますか？

それから１時間程飲み、村下と別れホテルに帰る健一にメールの着信音。


受信『健ﾁｬﾝお疲れ様。今何処ですか？電話出来ますか？』

文面を見ながら健一は苦笑いを浮かべる。つい２時間前にお疲れ様でしたと挨拶した理恵である。もっとも理恵にしてみれば同一人物とは思っていないのだろうけど…


ホテルの部屋に入る健一。前回の出張と同じホテルなので、フロントとも顔馴染みである。


「お帰りなさい。」


「はい、ただいまっと。なんかホテルに帰るのにただいまって変な感じだね。」

お互いに、顔を見合わせ笑いながら、ルームキーを受け取り部屋へ入る健一。


ネクタイを緩めながら理恵に電話を掛ける。


「もしもし、お疲れ様～」
言いながら、お疲れ様はないよなっと健一は思った。


「健ﾁｬﾝ～電話ありがとう！今何処にいるの？」


「うん、まだ会社で１人残業中。」

とっさに嘘をつく健一。


「そうなんだ。大変だね。ごめんなさい忙しいのに電話くれて…」


理恵の言葉に少し後ろめたさを感じる健一。


「で、何かあったのかな？」


「そうそう、あのね今日私を面接してくれた人がまた出張で来たの。その人岡村って名前なの。…