菓恋(かれん) ~be+ひと目惚れing~
まだファーストキスだって未体験なのに、こんなわけの分からない男二人にあんなこととか、こんなこととかされちゃうんだ……。
じわっ…
悔しくて、情けなくて涙がどんどんあふれ出てくる。
でも、わんわん泣くのはみっともないから、せめて“ぐっ”と唇をかみしめて、声に出さずにあたしは泣いた―――――
「ガチャ…」
そのとき背後でドアの開く音がした。
「アレ? ふざけてジョークで言ってるのかと思ったら、まさかホントに拉致られちゃってるワケ?」
振り向くと、さっきまでどんなに頼んでも開けてもらえなかったドアが開いていて、そこにはハタチ前後の若い一人の男の人が立っていた。
「…!」