菓恋(かれん) ~be+ひと目惚れing~
Act.1 「一年の恋は元旦にあり」
「ハァ、ハァ、ハァ…」
12月31日……いや1月1日AM1:37
新年早々あたしは走ってた。
「ハァ、ハァ、ハァ…」
真夜中の見知らぬ町の商店街。
黄色地に桜の柄が描かれた“振り袖”を着たあたしが走ってた。
「ハァ、ハァ、ハァ…」
振り袖の裾が乱れてるのを気にする余裕もないくらい、全力疾走であたしは走ってた。
「ブチッ…」
突然、草履の鼻緒が切れて、あたしは前のめりにつんのめって倒れた。