菓恋(かれん) ~be+ひと目惚れing~

「ふぅ…」と、ため息をつくハーフっぽい男の人。

「やれやれ、いったいどーいう育て方をしたら、こーゆう不躾(ぶしつけ)な娘ができるんだろーな…。ホント、親の顔が見てぇぜ」

「え!? 親の顔……? “親の顔”っていえば……あ~、もうっ!」

「今度はなんだよっ」

「アンタが勝手に振り袖を脱がせたりするから、あたしは家に帰れないじゃん!」

「え…?」

「あたし、自慢じゃないけど自分で振り袖、着れないのよっ。こんなカッコのままじゃ、家になんか帰れないよ~っ……」

「そのことなら心配いらねぇ」

「えっ!?」

「すでに、俺のばーちゃんに振り袖の“着付け”は依頼してある。待ってろ。下の部屋にいるから俺が呼んできてやるよ」

そう言って部屋を出て行ったハーフぽい男の人は、すぐに戻ってきてあたしに言った…、

「最初に言っとくが、俺のばーちゃんの名前は“巴里子(ともえさとこ)”。自分が“ばーちゃん”呼ばわりされるのをイヤがってるから、くれくれも“ばーちゃん”とは呼ばずに“里子さん”って呼ぶこと。オッケー?」

…って。
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