菓恋(かれん) ~be+ひと目惚れing~
「初詣から帰ってきて“今から寝よう”って思ってたのに、…ったく、とんでもねぇことに巻き込まれちまったぜ」

「あら、王子。レディを守るのは紳士のたしなみよ。正月早々いいことしたじゃない」

「まぁ、そうなんだけどね…」


「…って!」

“王子”って、まさかこの人の名前……?


「あの、“王子”って変わった名前ですね…」

「あらあら、自己紹介もまだしてないの?」

「別に名乗る必要もねぇと思ったし」

「あのね、“王子”は私が勝手に呼んでるだけで、名前じゃないのよ」

「じゃあ、ニックネームとか…?」

「そうね。私の息子――つまり、この子の父親はウチのお店『王様のショコラ』の店長――つまりは“王様”でしょ?」

「なるほど! “王様”の子どもだから“王子”なんですね!?」

「そのとおりよ、ウフフ…」

「…つーか、里子さん。身内の間でならともかく、恥ずかしいから、あんまし人前で“王子”とか呼ばないでくれ、っていつも言ってんじゃん」

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