菓恋(かれん) ~be+ひと目惚れing~
「でも他は、だいたいオッケーかな」



「え…」

さっきまで、とても厳しい表情であたしにダメ出しをしていたはずの王子が、今はすごくやさしい表情に変わってる。

まるで悪魔が天使に変身したみたいに……。


「ちゃんとおつりも間違えないでお客さんに渡してたみたいだし…」

「………」

「あと、最初はいかにも“作り笑顔してますよ”って感じで接客してたけど、後になってくるとだんだん笑顔が“自然”な感じになってきて、アレけっこーよかったと思うよ」

「だって、働くのは実際楽しかったし、多分あたし、途中からは意識しないで無意識に笑ってたんだと思う」

「あぁ、そうだろーな。まっ、これからもその調子で頼む」

「うん♪」

「今日はお疲れさん、もう帰っていいよ。後は俺らでやっとくから」

「ありがとう。じゃあ、お疲れさまでした!」

王子や他の店員さんたちにみんなにあいさつをして、あたしは『王様のショコラ』でのバイト1日目にピリオドを打った――――
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