菓恋(かれん) ~be+ひと目惚れing~


「…!」

すると突然、運転席の王子の左手が、膝の上に置いているあたしの右手をいきなりつかんできた!


…のかと思って、両手をグーにして、全身をカッチンカッチンに硬くしたあたしだったんだけど……、


王子的には、単に運転席と助手席のあいだにあるギアに手を伸ばしただけだったみたい。


「え…?」

単にギアに手を伸ばそうとしただけの行動に対して、過剰に反応してしまったあたしの挙動不信さに王子は気がついたみたい。

「“ミッション”のクルマってそんなに珍しい…?」

「え!? だ、だってウチのクルマは“オートマ”だから……」


ちなみに“ミッションの車”っていうのは、速度を変える度に、ガチャガチャとギアチェンジをしなくちゃいけない車のこと。

そんで“オートマの車”っていうのは、最初に車を発進させるときと、駐車させるときの2回だけしか基本的にはギアチェンジする必要がない車のこと。

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