菓恋(かれん) ~be+ひと目惚れing~
「え? “18になるまでは同乗してるだけだった”って…。王子は何歳のときから働いてるの?」

「俺は高校に行かないで、中学を卒業したらすぐパティシエの世界に飛び込んだんだ」

「えっ…そーなんだ……。でも高校に行かなくて不安じゃなかった?」

「全然」

即答だった。


「まぁ、これは俺の個人的な考えなんだけど、“学校”っていうのはさ、自分が何をやりたいのか探すための場所だと思うんだ」

「学校は何をやりたいのか探す場所……」

あたしはほとんど無意識的に王子が言うのを繰り返していた。

「義務教育は中学までなんだし、“中学”の間にやりたいことが見つかれば、“高校”になんて行く意味はねぇ、って思う」

「………」

「俺の場合、中2んときに“将来はパティシエになる”って決めてたし、高校に行って自分の将来になんの必要もねぇ勉強をチンタラやってるより、むしろ、その時間を使って1コでも多くのお菓子を作ったほうがいいって思ったんだ」

「へぇ、中2で将来のことを決めちゃうなんて、なんかすごいね。尊敬しちゃう」

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