運命のヒト

「昔、会ったことがあるの?」って、本人に聞けば一番早いんだろう。

だけど、シロは自分のことを極端に話したがらない。

名前や住所の件だけじゃなく、昨日の夕食時にさりげなく年齢を尋ねたときも、やっぱりはぐらかされた。


そんなシロのことだ、絶対ごまかすに決まってる。

だから、あたしは自力で思い出そうと思ったんだ。

そのために昔の日記を読めば何かヒントがあるかも、と思ったんだけど。

残念なことに、日記帳はもう手元にない。紛失してしまったのだ。


「あ~、モヤモヤするなぁ」


シロはあたしを知ってて、あたしだけが忘れてる。

それってちょっと、ズルくない?
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