運命のヒト
繋いだ手の先
部屋に戻ると、シロはリビングのラグマットの上でくつろいでテレビを見ていた。
「美園も見なよ、すげーおもしろいから」
そう言って隣にあたしを座らせる彼は、すっかりいつもの様子。さっきあたしを押し倒したことなんか、嘘のように。
いや、あれは押し倒したとは言わないのか。
でも、じゃあ、何だったんだろう。
「シロ、さっきのは……」
「あっ、ほらほら! この芸人」
テレビから目を離そうとしないシロに、あたしはあきらめて言葉を飲みこんだ。
本当は……聞きたいことは、山ほどある。
なのに、はぐらかされるとそれ以上聞けないあたしがいるんだ。
下手に深入りしようとしたら、シロはここを去っていくんじゃないか。そんな気がして。