運命のヒト
そんなこんなで、シロが気がかりで仕方なかったせいだろう。
その日の仕事であたしは、ケアレスミスを連発してしまった。
「美園さんがミスなんて珍し~。疲れてるんじゃないですかぁ?
あ、あたし、いいヘッドスパのお店知ってるから紹介しますよぉ。頭皮ケアって気持ちいいだけじゃなくアンチエイジングにも効くらしくってぇ」
隣のデスクの青木さんは、相変わらず大きな声で堂々と私語。
そして少し離れたデスクからは、元カレの沢村さんがこっそり恨めしげな視線。
ようやく退社時刻になった頃には、あたしはぐたぐたに疲れ果てていた。
「……6時か」
シロ、まだバイト中かな。
ちょっとだけ様子見に行ってみようか。
思い立ったあたしは、疲れ顔にサッとファンデーションを塗り直し、会社を出た。