運命のヒト


「いらっしゃいませ」


通い慣れたお店のドアを開けると、普段とはどこか空気が違った。

理由は――シロだ。


白いシャツに黒いエプロン、他のスタッフと同じ格好をしているのに、彼のまわりだけスポットライトが当たったよう。

こういうのを、持って生まれたオーラって言うんだろうか。

とにかく人の目を惹きつけるし、存在自体に華がある。

シロがいるだけで、お店全体が鮮やかに色づいて見えた。


あたしはなんだか誇らしい気持ちになりながら、カウンター席に腰を下ろした。


「美園」

シロが顔をほころばせ、あたしのそばに来る。

< 129 / 415 >

この作品をシェア

pagetop