運命のヒト
「いらっしゃいませ」
通い慣れたお店のドアを開けると、普段とはどこか空気が違った。
理由は――シロだ。
白いシャツに黒いエプロン、他のスタッフと同じ格好をしているのに、彼のまわりだけスポットライトが当たったよう。
こういうのを、持って生まれたオーラって言うんだろうか。
とにかく人の目を惹きつけるし、存在自体に華がある。
シロがいるだけで、お店全体が鮮やかに色づいて見えた。
あたしはなんだか誇らしい気持ちになりながら、カウンター席に腰を下ろした。
「美園」
シロが顔をほころばせ、あたしのそばに来る。