運命のヒト

「いらっしゃーい。俺の勇姿を見に来たのか?」

「なにが勇姿よ。こっちは心配で仕方なかったっていうのに」

「ははっ」

目を線のように細くして、くしゃっと笑うシロ。


あたしたちのやりとりを、となりの席の女性客が探るようにチラチラ見ている。

……なるほど、さっそくファンを作っちゃったわけですか。

まぁ、この笑顔で接客されればドキッとするのも無理はない。わかるよ、うん。


「で、どうなの? バイトの感想は」

「超~楽しい。俺、労働の喜びってヤツを生まれて初めて知ったかも」

「労働の喜び……ねぇ」

しかも生まれて初めてとは大げさな。
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