運命のヒト
「ちょっと! ふたりとも」
間に挟まれてなだめるあたしは、小学生のケンカを止めているような気分になる。
「大我お前なー、マジ性格わりぃぞ」
「素性隠した不審人物に言われたくねぇな」
あぁ、もう。やっぱりコイツら相性最悪だ。
シロと、大我。ふたりの間であたしはため息をつきながら
だけど胸の奥では不思議な温かさを、そして切なさを感じていた。
シロは、いつまであたしと一緒にいてくれるのかな。
大我も、いつか誰かと結婚して今みたいに会えなくなるのかな。
こんなくだらないケンカができた今日は、形のない過去に変わってしまうのかな……。
唐突に湧き上がった感傷をごまかすように、あたしは明るく振る舞った。