運命のヒト
台所の方から小さくな物音がして見ると、大我が硬い表情でたたずんでいた。
シロは目を伏せて立ち上がり、「先に帰っとく」と言ってコートを持った。
「おい」
大我が呼び止める。
だけどシロが足を止めたのは、ほんの数秒。
「……おじゃましました」
無機質なその声だけを残し、玄関のドアが閉まった。
* * *
――『俺みたいなめんどくせぇの、お前は選ぶ必要ない』
「……自分で言うなよ、バカ」
公園のベンチに座って、独り言をもらした。
項垂れたあたしの視界に、雪と土の混じった地面が目に映る。