運命のヒト
「今帰りか?」
「う、うん……。大我はこれから? 今日は遅番なんだね、めずらしいじゃん」
明るく話そうとすればするほど、声が空々しくなる。
そんなあたしを当然見透かしている大我は、うっすらと苦笑して言った。
「田吾作、日曜まで働くことになったぞ」
「……たごさく?」
何その昭和の香りが漂う名前は。
「店でのアイツの名前だよ。シロで通用するわけねぇから、俺が名前つけてやった。山田田吾作」