運命のヒト

返事がないのを予想していたかのように、大我は淡々と、だけど厳しい声で告げた。


「わざと周りに誤解を与えるような発言をするな。
お前とはとっくに別れただろ。うちに押しかけたり、泣き脅しももうやめろ」


こんなに一方的な電話の切り方を、あたしは初めて見た。

必死で何かを言おうとするマホちゃんの声を、親指ひとつで消し去る大我。

ピッ、と小さな音がして、音声が途絶えた。


「……大我……」

今の会話、どういうこと? マホちゃんともう別れてたって……え、そうなの?
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