運命のヒト
「やめない……って言ったら、ずっとそばにいてくれるの?」
見つめ返して問うと、シロは目をふせてうつむいた。
やわらかそうな前髪に隠れる瞳。
その下の唇が、わずかに動いた。
「……いるよ」
あたしの肩にそっと、シロのおでこが乗る。
まるで冬空の下、震える捨て犬みたいに。
「もう……どこにも行きたくない。俺はずっとお前のそばにいる」
いっきに胸が詰まって、言葉が出なかった。
肩に寄りかかるシロを、あたしは初めて自分からギュッと抱きしめた。