運命のヒト
始まりと終わりの日
「何これっ、超広いんだけど!」
すげーすげー!と、さっきから何度も同じセリフを繰り返しているシロ。
「こういうのは、ムダに広いって言うんだ」
荷物をイスの上に置いて、大我が興味なさそうに言った。
換気のため全開にした窓からは、冬風に混じって海の匂い。
あたしはそれを胸いっぱいに吸い込んだ。
『あなた、次の休みはいつなの? M市の家の掃除を頼みたいんだけど』
大我のお母さんから、大我にそんな電話がきたのは2日前だった。