運命のヒト
「お前って実は金持ちの子だったんだな。あんなボロアパートに住んでるから知らなかったよ」
立派な別荘の中を探索しながら、シロが感動したように言った。
「金持ちだったのは爺さんだ。俺は関係ない」
「あっ、ワインセラー」
シロの興味は次から次へと飛び移る。縁日に連れて行ってもらった子どもみたい。
そんな彼に目を奪われて、ぼんやり窓際に立っていたあたしは、ふいに寒気に襲われクシャミをした。
「換気はもう充分だろ」
そう言って開けっ放しの窓を閉めたのは、大我。