運命のヒト

「……なんだ?」


彼がおもむろに拾い上げる。

白い、携帯電話だった。


「やけに古いデザインだな。お前の?」


ちがう……あたしの携帯じゃない。受け取って見ても、やっぱり覚えがない。

すでに壊れているらしく、電源すら入らない携帯。


――なのに、懐かしい愛しさが無性にこみ上げたのは、なぜだろう。


「……夢を」

「え?」

「夢を、見てた気がする」

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