運命のヒト
「またその映画か」
大我が言った。
「昨日も一昨日も観てただろ」
それがわかるということは、つまり昨日も一昨日も、大我はこの部屋を訪れているということ。
シロがいなくなった夜から、毎晩あたしの様子を見に来てくれる。
「これ、あたしの一番好きな映画なんだ」
画面に顔を向けたまま、抑揚のない声で答えた。
「中学の頃から好きだったよな、お前」
「うん」
画面に流れているのは
【ある日どこかで】
シロと初めてこの部屋で観た映画。