運命のヒト


3階建てのマンションの前で、タクシーを降りた。


「204号室だったな」

オートロックはついておらず、そのまま入って階段で2階に上がる。


一列に並んだワンルームのドア。その奥から2番目が、目的の部屋。

玄関の前に立つと足が震えた。

緊張と、不安と、そして期待。


大我がチャイムを押す。が、反応はない。

……留守?

あたしはギュッと拳を握った。少し手のひらが汗ばんでいた。


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