運命のヒト

“トシローくん”とシロが同一人物だと、まだ決まったわけじゃないのに。

それでも、祈らずにはいられなかった。


お願い、お願い
どうか――。


「――あの。うちに何か?」


あたしと大我は弾かれたように振り返った。

そこに男の人がひとり立っていた。


「あ……」

3人が、同時に声を発する。


「トシロー……くん?」

たずねるあたし。

目を丸くしたままうなずく、その人。
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