運命のヒト

呼ばれていることに気づき、あたしはハッと顔を上げた。

いつものオフィスの光景。
いつもの青木さんの顔。


「もぉ~、さっきから呼んでるのにぃ」

「ごめん」


一夜明けて、今日もあたしは仕事だ。
ほとんど眠っていないのと、風邪薬のせいで、頭がボーッとしている。


「美園さんも今日、行きますよね?」

「あ……うん」

どこに? と尋ねる前に、条件反射でうなずいてしまった。
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