運命のヒト

青木さんは元気よく立ち上がると

「美園さんも参加で~す」

と、社員の男性に告げた。


「え、参加って何が?」

「今夜の忘年会ですよぉ」

「あたし聞いてないっ」

「何回も言ったじゃないですか。美園さん、ボーッとしてるからぁ」

「いや、でも……あたしたちは派遣社員なんだし、忘年会なんて……」


正社員との飲み会なんか、何が楽しいんだろう。気をつかって疲れるだけじゃん。

それに、今のあたしは正直それどころの心境じゃないのに。


「そうそう、今日は本社の人も来るらしいですよ。派遣のあたしたちが知り合える、貴重なチャンスですよぉ」


普段の仕事態度からは想像もつかないほど、ヤル気みなぎる青木さん。
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