運命のヒト
思わず安堵のため息が出た。むこうからメールを送ってきてくれたことに、あたしはひどくホッとする。
あたしはテーブルの下でこっそり返信を打った。
『あたしの方こそごめん。今日は忘年会で○○ビルに来てるの。もうすぐ終わると思うけど』
『俺も、もうじき仕事上がり。一緒に帰るか』
『うん。またあとで連絡するね』
ほどなくして、忘年会はお開きになった。
青木さんを含む半数以上は2次会に繰り出していった。
「もしもし。今終わったよ」
ビルの前で大我に電話をかける。
「わかった。すぐ行く」
聞こえる大我の声はいつも通りだった。
よかった、普通に話せた……。
「待ってるね」と彼に伝え、通話を終えて携帯を耳から離すと、風の音がビュゥビュゥと大きくなった。