運命のヒト
今夜も北風が厳しい。だけどその寒さが、酔いを醒ますのにちょうどよく感じる。
うーん、まずいなぁ……
少ししか飲んでいないのに、今夜はやけにアルコールが回ってる。しかも、いい酔い方じゃない。
寝不足と体調不良の上に、ビールを飲んだせいかな。気分が悪い……。
そのとき、背後に気配を感じた。
「早かったね、大――」
振り返ったあたしは、だけど大我の名前を呼び終わる前に、声を失った。
そこにいたのが大我ではなく、沢村さんだったから。