運命のヒト

……あれ? いつのまに帰ってきたんだっけ。
たしか忘年会のあと、外に出て……。


「気、ついたか?」

ベッドの横から聞こえた声に、あたしはビクッとした。

大我が、気遣うような表情であたしをのぞきこんでいた。


「あ……」

思い出した。大我と待ち合わせをしてるときに沢村さんが来たんだ。

それで、むりやりタクシーに乗せられそうになってもみ合って。

あの状況の中であたしは気分が悪くなり、気を失ってしまったんだ。


そういえば気を失う直前、誰かが助けてくれたような気がする。

じゃあ、沢村さんを追い払ってくれたのも、あたしをここまで運んでくれたのも――


「大我が?」
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