運命のヒト

当然そうだと思って尋ねたのに。

大我は、うなずかなかった。

代わりに神妙な顔つきで首を横に振り、言った。


「俺が着いたときには、男はもう逃げて行くとこだった」

「え、じゃあ誰が……」


まさか。


「アイツだよ」


――“アイツ”。
それが誰を指しているのかは、問わなくてもわかった。


「いたの……?」

声が震える。

「シロに、会ったの……?」

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