運命のヒト

体調は少しマシになった。それより心の方が、まだグチャグチャのまま。


シロの携帯に入っていた、現実的にありえない写真。

あれが何を意味するのか、考えても答えなんか見つからない。

本人に聞かなくちゃ、わからない――……。


そのとき。ななめ後ろでバサァッ、と音がしてふり返った。


軒先のゴミをつついていたカラスたちが、一斉に羽根を広げて飛びたっていく。

視界を覆うような黒いかたまりが騒がしく空へと上がっていくと、再び静寂が戻った。



その場所に、彼が立っていた。

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